簡易版リンク
※簡易版 襷ウツロイド×珠ギャラドス[ポケモン剣盾/s12(シリーズ7)/シングル6350/最終日最高531位/最終922位] - おせち Tier1
使用したポケモンの調整先など最低限の情報のみをまとめた簡易版のリンクです。お時間のない方はこちらをどうぞ。
パーティ俯瞰画像・レンタルコード
レンタルパーティはしばらく開放している予定です。もしよろしければ使ってやってください。プレシャスボール色ギャラドスを見たい方も是非。
※ギャラの努力値配分をより使いやすくなるように修正しました。「個別解説(詳細) 1.ギャラドス」の項で言及しています。
コード:0000-0003-M5R0-0X
まえがき
はじめまして。ごきげんよう。お雑煮と申します。剣盾s12ではこれまで以上に本気でランクバトルに取り組みました。(結果の数字は決して満足のいくものではないですが,)その爪痕を何かしらの形で残しておきたくなったので,こうして筆をとらせていただきました。構築全体の完成度はお世辞にも高いとは言い難いですが,環境でもあまり見かけない,それなりに面白い軸を発見したと自負しています。この記事が誰かの構築作りの,あるいは界隈の更なる発展の,一助になれば幸いです。
注意事項
- 持てるものを極力書き尽くそうとした結果,全体的に冗長な文章となってしまいました。簡易版も用意したので,お時間がない方はそちらをご覧ください。
- 検索すればわかる程度の非公式の略称を多用しています。
- 能力ランクの昇降を[(能力値の略記)±n]のように表記しています。(例えば,[D+2]は「特防ランクが2段階上昇」の意)
以上三点,ご容赦願います。
以下常体
ってヤツをずっとやりたかったんですが,気がつけば敬体で既に9000字くらい書いてあって,時すでに遅しでした。以上も以下も敬体です。
目次
構築コンセプト
構築を組むうちに軸の方向性がぼんやりと見えてきた辺りからは,以下の3点を特に意識してするようになりました。
- 初手で襷ウツロが役割をこなしやすくするために,選出誘導を活用する。
- 軸の襷ウツロ・珠ギャラの型をカモフラージュし,試合の初動から主導権を積極的に握って,勝利まで逃げ切る。
- ステロと電磁波を撒いてギャラを通すという単純明快な試合展開でもって,容易に勝てる試合を絶対に取りこぼさない。
1.の選出誘導に関しては「カバルドンとウーラオスを上段に並べ,レヒレを出したくさせること」,2.の型のカモフラージュに関しては「並びを少しでもサイクルらしくすること()」をそれぞれ意識しました。(実際どれほど効果があったのかはわかりませんが…。)
構築経緯・採用理由
11月も残すところおよそ1/3といった頃,
- 当時流行のCSサンダーを[A+1]ダイロックで落とせる
- ステルスロック+抜群ダイロックでASエースバーンを落とせる
といった高い火力を持つ「意地珠ギャラドス」が,環境全体でのギャラへのマークが薄くなっているのも相俟って通りが良いのでは,と予想したのがスタートでした。
珠ギャラを通すうえで,相手の気合の襷をほぼ確実に潰せ,パーティ全体に削りを入れられる,ステルスロックは必須だと考えました。そこで,
- ギャラとの相性補完に優れ,ステロ欠伸吹き飛ばしでギャラの起点を作りやすい「オボンカバルドン」
- ギャラの苦手な特殊電気一般に強めで,カバが初手に誘うポケモン(カプ・レヒレや鉢巻ゴリランダー)に対し優位に出られる「襷ウツロイド」
の二匹をステロ撒き・起点作成要員として採用しました。
ステロを撒いてギャラドスで相手のパーティを荒らした後で,試合を締めくくるポケモンを必要としていました。そこで,ポケモン界随一の対面性能・詰め性能を持つ「ミミッキュ」を,アッキの実を持たせて採用。(後に呪いのお札ASへ変更,後述)
②~④の3匹(,,)は,軸のギャラドスにとって欠かせない性能を持っていると考えていました。そのため,組み始めの段階ですんなりと決まり,最後まで使い続けましたが,残りの2枠のポケモンは,最終日前日までにいくらかの試行錯誤がありました。残った2枠で補いたかった要素は主に以下の5つです。
- ギャラが取りこぼしがちなポリゴン2・ミミッキュを倒せること
- 重いナットレイへ後投げしサイクル不利を取らずに引かせられること
- ミミッキュを出せない構築相手にスイープ能力を発揮できること
- 最低限のサイクルパーツとしての鋼タイプ
- 受けサイクルへ抵抗力があること
約1週間の紆余曲折を経て,最終的には
の二体を採用する運びとなりました。どちらも受けサイクルにある程度抵抗力があることも,採用を後押しした要因です。ラオスについては,が比較的起点にしやすく,かつ環境に数が多かったカプ・レヒレを選出させる狙いもありました。
また,前述の「アッキミミッキュ」は,ランクバトルに潜る中でアッキが有効に働く機会が少ないと感じたため,影打ちとゴーストダイブのリーチを伸ばした,意地AS振りの呪いのお札持ちに変更しました。
参考にした構築記事
【S12最高最終2109】明鏡止水カバゲンカグヤ【最終36位】 - まじゃいのアーティファクト
1世代前の構築ですが,本構築のコンセプトの1つである,カバによる選出誘導はここから着想を得ています。また,最後の二枠を決定する際の指針としても,大いに役立っていただきました。(常に上記の構築を意識しながら組んだわけではなかったですが,結果的に"・毒・格闘"という並びをなぞっていました。)
個別紹介(簡易)
※実数値・努力値の表記は、H-A-B-C-D-Sの順です。
※紹介の順番は採用順に準じています。
1.ギャラドス
特性:じしんかじょう
実数値:175-194-100-x-121-128
努力値:36-252-4-0-4-212 (いじっぱり)
持ち物:いのちのたま
2.ウツロイド
特性:ビーストブースト
実数値:185-x-67-179-151-170 ※BB発動時C上昇
努力値:4-0-0-252-0-252 (おくびょう)
持ち物:きあいのタスキ
3.カバルドン
特性:すなおこし
実数値:215-132-154-x-123-67
努力値:252-0-12-0-244-0 (わんぱく)
技:じしん/ステルスロック/あくび/ふきとばし
持ち物:オボンのみ
4.ミミッキュ
特性:ばけのかわ
実数値:131-156-100-x-125-148
努力値:4-252-0-0-0-252 (いじっぱり)
持ち物:のろいのおふだ
5.ウーラオス(一撃)
特性:ふかしのこぶし
実数値:175-182-121-x-80-163
努力値:0-252-4-0-0-252 (ようき)
技:あんこくきょうだ/インファイト/ふいうち/とんぼがえり
持ち物:こだわりハチマキ
6.テッカグヤ
特性:ビーストブースト
実数値:204-x-138-143-122-96 ※BB発動時C上昇
努力値:252-0-116-20-4-116 (ひかえめ)
持ち物:たべのこし
個別解説(詳細)
記載している選出率/先発率/選出時先発率は,最終日前日~最終日の83試合のデータです。
1.ギャラドス(選出率:81.9%/先発率:1.2%/選出時先発率:1.5%)
<調整意図>
特性: 相手のA下降による起点範囲の拡大よりも,自身のA上昇の方が重要だったため自信過剰。
性格・努力値
A: 抜きエースとして最大限火力を高め,削れたナットなどもゴリ押したいので特化
S: [+1]時に最速アーゴヨン抜き(これは偶々です。そもそもは麻痺の入った[S+1]ウツロを意識したSラインでした。)
H: 16n-1
B,D:余りを4ずつ
技
とびはねる: 抜き性能をまさに"飛躍的に"引き上げる,ダイジェットの媒体技です。ダイマが切れた後にダイマ枯らしができるのも地味に役立つ機会が。
ストーンエッジ: サンダー他飛行タイプへの強力な打点になり,非ダイマ時にレヒレへの有効打としても重宝します。
たきのぼり: 非ダイマ時にも打ちやすく,追加効果も優秀な一致技。
りゅうのまい: レヒレやクレセリアのような低下力を前にした時や暇な時に積めるほか,ダイウォールがあると相手の先行ダイマに対して切り返しやすくなります。
持ち物: ギャラに抜きエースとしての火力を出させるには必須の持ち物だと思います。
<解説>
冠の雪原組解禁以来,環境からギャラが姿を消しました。そんな中,ことさら珠ギャラのマークが薄くなっていること,(S12初期~中期に)流行したCSサンダーを[A+1]ダイロックで倒せることに気が付いたのが,そもそもこの構築の始まりでした。環境に苦手な相手(HBなど)は少なくないですが,ステロと組み合わせて使用することで,それなりの抜き性能・荒らし性能を期待できます。
自体が最低限の耐久のあるポケモンとはいえ,珠と砂嵐とでガンガン削れていくため,耐久面での過信は禁物です。特にダイマが切れた後は,ミミの剣舞影打ちなどでも容易に縛られてしまうため,いつ舞い,いつダイマの3ターンを使うのかの判断はかなり重要です。
Sラインについてですが,耐久振りサンダーのSラインとして実数値128(60振り)(=ギャラと同速)がかなりメジャーだったようで,もう1か2伸ばしておくべきだったかもしれません。幸いs12でサンダーと同速勝負をする場面は発生しませんでしたが,無理にSを上げる必要がないことを認識しておくことで立ち回りに差が生まれる可能性は大いにありますよね。記事冒頭のレンタルパーティ内のギャラドスの調整もB,Dを1ずつ削ってSを1増やしました。
<所感など>
個体は,2015年に配布された親名「PCひろしま」のプレシャスボール入りの色個体を使っていました。5年来のポケモンを使えたのもさることながら,プレシャスボールと赤いギャラドスが似合いすぎて,毎試合ニヤニヤしていました。苦手な相手の増加の影響から,思いついた頃と比べれば最終盤は幾分通しづらくはなりましたが,それでもなお特化珠の火力は魅力的で,そして何よりプレシャスボールの色ギャラドスを活躍させたい一心で,結局最後まで使い続けていました。
2.ウツロイド(選出率:95.2%/先発率:84.3%/選出時先発率:88.6%)
<調整意図>
特性: これしかないため確定。
性格・努力値
S: 最速100族やガブをはじめとし,付近に抜いておきたい相手が沢山いるので最速
C: 明確な役割対象はおらず,できるだけ高い打点を保ちたいためぶっぱ
H: HPが奇数になって気持ちいいので余り4振り
技
ステルスロック: コイツの採用意義。相手の頑丈や襷を潰すと同時に,の一歩足りない火力を補います。
電磁波: Sの下がった相手を場に残し,のダイジェ及び自信過剰の餌にします。
ヘドロウェーブ: 初手に意気揚々と出てきた鉢巻をワンパンするほか,無理矢理ダイマを切っての突破を試みるを大きく削ることにも使います。
パワージェム: 必須……ではありませんが,岩技は多くの並びに一貫しがちで,暇な時に擦る技として優れます。
持ち物: このポケモンの物理耐久は紙同然なので,行動回数を安定して増やすためにこれ以上相応しい道具はありません。
<解説>
襷ウツロはこの構築の肝なので,特に重点的に解説します。
巷ではパワフルハーブメテオビーム型が大流行していたため,ウツロの襷は殆ど警戒されていなかったように思います。周知のとおり,起点作成が「読まれない」ということは,それは直ちに起点作成要員としての強さに直結します。そういう意味でこのはある種,最強の起点作成役だったかもしれません。(ラム持ち・先制技持ちが環境に少ないのも追い風でした。) また,ハーブメテオビームの圧力のお陰か,襷型を全く警戒されないのみならず,相手がウツロを積極的に落とそうとしにくるために,動きを推測しやすくゲームプランを組み立てやすかった事も素晴らしかったです。
エースである自信過剰ギャラとの相性も極めて良好でした。ギャラが苦手とする特殊電気を引かせたり,が誘う鉢巻ゴリランダーを初手で落としたり,と親和性が非常に高いです。ウツロの弱点である鋼・地面・水をギャラドスが半減以下に抑えられるなど,単にタイプ補完の点でも優れます。
とはいえ,を止めにこれるナットやジバコに対して,まとめて不利を取ってしまうのはウツロイドの難点であり,彼らへのケアを構築全体でより強固にしていくのが,この構築の完成度を高める一つの方向性でしょう。
~初手の行動チャート~
相手の初手は大抵カバを強く意識したポケモンです。ですから,どんなにウツロが刺さっていないように見えても,臆せずウツロを投げていれば,結果的になんだかんだ有利対面になりがちです。迷ったらとりあえずウツロ初手,くらいの心構えで結構です。(というより,ウツロを先鋒にしなかった場合,初手に鋼の翼サンダーを投げられるだけで試合が終了してしまうため,そのケアを考慮するとほとんどの試合が初手ウツロイドになりました。否,せざるをえませんでした。)
実際の試合ですべてチャート通りに動いていたわけではありませんが,ウツロイドを初手に投げた時は,概ね以下のように技選択していました。
ステロでokです。スカーフ持ち以外引いていきます。スカーフ持ちのみ水技で突っ込んでくるので,次のターンの水技に対してギャラバックが安定します。次のターン,ダイマを読んで再度ウツロ投げか,引きを読んで龍舞orダイジェットかは,相手の取り巻きなどから判断します。
- 対ゴリランダー
グラススライダーで突っ込んでくるので,返しのヘドウェでしっかりと落としに行きましょう。S12中は一度も当たっていませんが,相手が襷持ちだったりヘドウェを耐えてくるほどの耐久振りだった場合は,もう降参待ったなしです。
- 対霊獣ランドロス
この構築に対し初手に登板されたランドの動きは大抵,剣舞→ダイジェットです。初手のウツロランド対面は全く望ましくない状況であるため,選出画面から初手ランドが見え見えならば,こちらは輝夜を先発させておきたいです。しかしもし対面してしまった場合は,ジェム+ステロの順でウツロを切りましょう。襷なので一応相手のダイマは2ターン使わせられます。99%地面技は飛んでこないので,バックは禁物です。
- 対原種サンダー
ヤンキーダイスチルのケアでパワージェムを押していました。が,余程の事がなければ引いてくるので,ステロからでいいかもしれません。
ダイマして突っ込んでくるのをケアして電磁波から入っていました。が,これも余程の事がなければ守ってくるので,ステロからでいいかもしれません。
- それ以外
電磁波が通らない相手を除き,原則電磁波→ステロです。電磁波から入ることで,より速い相手に対しては電磁波で足を奪い,次ターン上からステロを押せますし,より遅い相手に対しては麻痺により行動不能になるチャンスが増えます。
~技選択について~
ウツロの毒技の枠は,ヘドロウェーブorヘドロ爆弾が選択になるかと思います。本構築では,
・初手に誘ったゴリランダーを討ち漏らしたくないこと
・電磁波が通る相手には電磁波を押すため3割毒が生きる場面が少ないこと
といった理由から,ヘドロウェーブの選択です。
また相手のカバルドンを舐めくさった構築故,電磁波の枠を草結びにして使っていたこともありましたが,電磁波の方が段違いで便利だったので,最終的には電磁波になりました。
<所感など>
恐らく100回以上はの電磁波を押したと思いますが,記憶の限り片手の指で数えられるほどしか外しませんでした。本当に頭が上がりません。ありがとうございました。
ところで,s12最終日はレート2000を目指して潜り最高時には1970代まで届いたのですが,その後の2000への道は,まさかまさかの襷電磁波ステロ型ウツロに閉ざされました…。ほぼ同じ型を使っておきながら,相手の電磁波を無警戒で負けたのは結構ショックでした…()
Twitterで流れてきたs12の構築記事の中にいくつか襷ウツロイドの姿を見かけて少し嬉しい気持ちになっていました。皆さんヘドウェの枠は毒菱になさっていましたが…。
3.カバルドン(選出率:16.9%/先発率:2.4%/選出時先発率:14.3%)
<調整意図>
特性: 砂嵐によるウツロの特殊耐久強化・相手の襷潰し・削りが強力なため砂起こし。
性格・努力値
H: 総合耐久意識でぶっぱ
B: A142珠ミミッキュの一致130技が~207
D: C150ラプラスの一致130技が~212
C172珠トゲキッスのダイソウゲン(草結び媒体)が~211
技
じしん: 構築全体で重めな電気タイプ一般への高打点。
あくび: ギャラの龍舞やミミの剣舞,輝夜の身代りとの相性が抜群に良く,採用しない理由なし。
ステルスロック: ウツロでもステロを撒けますが,カバも撒けた方が立ち回りの自由度が上がるので採用。あって損はないと思います。
吹き飛ばし: カバを起点にされてしまった後の,構築内での抵抗力が貧弱なのでカバ自身の起点回避能力は必須。
持ち物: オボンの有無によって確定数が変わる技があまりに多いため,同じく回復効果のある混乱実や食べ残しと比べても,オボンに軍配。
<解説>
HBD振りの,起点づくりとしては昔よくいた感じの構成・配分のカバです。カバを出さないと勝てないという相手が特におらず,エスバなどにも後投げはかなわないので殆ど選出しませんでした。しかしながら,初手でウツロが仕事をしやすいポケモン(etc...)を誘うには絶対に欠かせない存在です。ギャラを全力で介護すれば確実にギャラで全抜きできると判断した試合や,対パッチラゴン入り・レジエレキ入りへの登板がメインです。
<所感など>
半年ほど前に育成した個体をそのまま流用したため,調整は正直何のあてにもなりませんが,物理特殊両方面に程よい耐久力を発揮してくれたため,概ね満足しています。
色違いが欲しかったため,先日アローラに帰省しワープライドをやりました。でも結局シーズン終了に間に合いませんでした。もう二度とやりたくないです……。
4.ミミッキュ(選出率:41.0%/先発率:0.0%/選出時先発率:0.0%)
<調整意図>
特性: これしかないため確定。
性格・努力値
A: 影打ちやゴダイブの威力を最大限に高めるように特化
S: 極力上からゴーストダイブできるようにぶっぱ
H: HPが偶数だと落ち着かないので余り4振り
技
ゴーストダイブ: ダイマ枯らしに有効で,かつダイホロウの火力が高いため,霊技としてシャドクロよりも優先度は高いです。
かげうち,つるぎのまい: ミミの打ち合い性能・縛り性能を引き上げる技二つ。
じゃれつく: 霊技と併せた時の等倍範囲が広く,また構築内に有効打点が少ないドラゴンタイプへ打つ技でもあります。
持ち物: 珠をギャラが所持しているため,珠以外の持ち物でゴースト技の威力を最大限に高めるお札を選択しました。
<解説>
の二匹で荒らした後の詰め要員として,相手の素早さにあまり左右されず安定して高い性能を発揮できるために汎用性が高い,というのは今更言うまでもないですかね。必然的にもう一体の詰め要員である鉢巻ラオスと比べても,選出率は上がりました。
時々する,ギャラを選出せずにミミッキュを選出する試合では,相手の高速ダイマエース(例えば顎やパッチルドンのような)に対して,
ダイウォール→ダイホロウ→ダイウォール→影打ち
のように動くケースが多いため,火力は伸ばせるだけ伸ばしました。ASミミッキュミラーをはじめとし,陽気の素早さが欲しい場面もないではないですが,間違いなく意地の火力に助けられた場面の方が多かったです。
<所感など>
剣舞採用のミミッキュを使わなくなって久しかったですが(1年くらい?),改めて,剣舞ミミはいつの時代もコンスタントに強いポケモンだと,再認識させられましたね。
素早さよりも意地の火力を優先したのは,概ね正解だったと思いますが,最終日一度だけ意地ミミッキュの同速勝負があっ (て,しっかり負け) た時は驚きました。ミミッキュは,珠陽気ASとアッキ耐久振り・イバンくらいしかいないと思っていたんですが,実際のところどうなんですかね。
5.ウーラオス(選出率:33.7%/先発率:0.0%/選出時先発率:0.0%)
<調整意図>
特性: これしかないため確定。
性格・努力値
S: 対ミミッキュを意識して最速
A: 可能な限り火力を出すためぶっぱ
B: 何となく,物理技を食らう場面の方が多そうだと思ったため余り4振り
技
あんこくきょうだ,インファイト: 安定して高火力を出せる一致技として。
とんぼがえり: 主にナットレイに後投げした後,裏を削りつつ対面操作するために採用。
ふいうち: ラス1ウオノラゴンを対面で倒したり,重めなレジエレキにワンチャンを賭けます。
持ち物: ウーラオスの存在が構築に欲しくて採用したため,持ち物は相手のサイクルに負担をかけられそうな鉢巻を(半ば適当に)選択。行動保証のあるスカーフでもよかったかもしれませんが,鉢巻のお陰で勝てた試合が幾つかあったので最後まで変更しませんでした。
<解説>
カバルドンと共に,相手のレヒレの選出を誘うのが最も重要な役割です。が,その割には選出率は高めです。
選出は主に対ナット入りで,その他にも高耐久の高速再生技持ちが多い構築に対して,ウツロギャラの裏としてミミに代わって置く場合が多かったです。特性の存在によりに守るを押されづらいため,後出しから蜻蛉を通して有利対面を維持し続けやすいです。
また,被選出率の高かったミミッキュに対して,
HPが1残ったに飛んでくる影打ちに受け出し→蜻蛉でを切りつつ皮剥がし→死に出し暗黒強打
で上から縛る動きがかなり優秀です。
削れたレヒレは基本的に珠ギャラのダイジェットの(,場合によっては龍舞の)おやつです。ギャラで全抜きできそうになったらラオスはさっさとレヒレに落としてもらい,ギャラの起点にしていきましょう。
不意打ちの枠は雷パンチも一考ですが,前述の通りレヒレに打点を持つ必要がなかったことなども踏まえてこの技構成にしました。ですが,結局不意打ちも一度も打たなかったので,もはや別の技でもいいのかも……?
<所感など>
の採用自体は◎でしたが,最終日前日の急な採用だったので,一撃or連撃や持ち物の選択をはじめ,まだまだ考察の余地はあると思います。最終日殆どのとが突っ張ってきたのはいい思い出です。
6.テッカグヤ(選出率:31.3%/先発率:12.0%/選出時先発率:38.5%)
<調整意図>
特性: これしかないため確定。
性格・努力値
H: ナイトヘッドや地球投げを身代りが耐えるようにぶっぱ
B: A182ウーラオスの水流連打が~36(残飯回復×1込み,255/256で2耐え)
A200ウーラオスの暗黒強打が~118(残飯回復×1+寄生木吸収×1込み,確定で2耐え)
S: 麻痺した最速アーゴヨン抜き
技
エアスラッシュ: ウツロが辛い,相手のウーラオスへ削りを入れる打点であり,偶に打つダイジェットの媒体であり,麻痺と併せて運勝ちも狙える,優秀なウェポン
やどりぎのタネ: (命中以外は)安定した削り技であり,重要な回復ソースであり,時に対面操作技でもあります。相手のポケモンには外しますが,絶対に外せません。
みがわり: 持ち物や他の技との相性が抜群で,残飯輝夜の性能を大きく左右する技。
まもる: 同上。相手のダイマ枯らしのためにも欠かせません。
持ち物: 混乱実が弱体化した今世代,この構築に限らず耐久型の輝夜の持ち物は残飯一択な気がします。
<解説>
全ポケモン界でも指折りの優秀な耐性をもち,後出し性能に非常に長けているため,主に初手ウツロの引き先として選出します。この構築内で水地面勢(,,,)とまともに付き合えるのがテッカグヤくらいのものなので,彼らを見た時はほぼ確実に選出します。また,ステロや電磁波・欠伸など,やどみがとシナジーのある要素を沢山構築に盛り込んでいるため,高耐久のクッションとしてだけではなく,時に優秀な詰ませ役としての活躍を見せます。
ですが,苦手なメジャーどころであるエスバやサンダーへの安定した引き先を構築内に用意できなかったため,選出時はどうしても慎重なゲームメイクを強いられてしまうのは,少々扱いづらいところです。ギャラが苦手なポケモンが,輝夜のそれと被りがち(というよりサンダーのこと)なのもややマイナスポイントか。
前述の通り基本的にはウツロからの引き先として選出しますが,初手のダイマランドを選出画面で見切った試合・連撃ウーラオスが初手に出てきそうな試合ではウツロに代わって先発させます。
<所感など>
ウツロが電磁波を殆ど外さない分なのか,この子は寄生木もエアスラも外し放題の,超絶お茶目さんでした。
正直なところ,剣盾s12では7世代程の強さは感じられませんでしたが,まだまだ秘められたポテンシャルをもったポケモンだと信じているので,今後のポケモン界隈のロケット型開発には期待を寄せています。
選出例
選出時の考え方や指針を,多かった選出例とともに紹介します。
(1)ウツロ(先鋒)+ギャラ+詰め要員(++or)
ウツロで起点を作り,ギャラのダイマを通し,裏で削りきる,最も単純かつ最もパワーの出る選出です。基本的にラス1には,行動保証があり積み技と先制技を持ったミミッキュを選出します。ナットやポリ2絡みの構築に対してはそれらを一旦流してステロの削りを入れるためにウーラオスを選出することが多いです。
(2)ウツロ(先鋒)+ギャラ+クッション(++or)
相手のドラゴンタイプやテッカグヤ・ブリザポスあたりへのクッションが欲しい時には,ウツロギャラの裏にテッカグヤを選出することがありました。メインの勝ち筋は(1)と変わりません。カバルドンを選出するのは,対ドリュウズ入りや,詰め要員よりも欠伸での起点づくりが欲しい場合です。基本的にはミミやラオスの方を優先して選出するため,このタイプの選出はそれほど多くはなかったです。
を選出して確実に敗けるヴィジョンが見えた時・余程他のポケモンが刺さっている時を除き,選出は「ウツロ+ギャラ@1」の形をとります。以下の二つの選出をする時はほぼ非常事態ととらえます。変に怖気づいてウツロギャラを出さないよりも多少無理を通しすようにするくらいの方が,結果的に勝率は上がります。
(3)テッカグヤ(先鋒)+2(例: ++)
初手剣舞ダイマランドが見え透いている時や,相手の構築にラグがいた時の選出です。この時でも残りの二体にはウツロギャラを置くことが少なくないですが,テッカグヤに十分な起点回避性能が備わっていない都合上,相手の先行ダイマを凌いで裏から捲り返すためにギャラよりミミを優先して出すこともあります。
(4)自由に3匹
どうあがいても勝てないと思われるパーティ相手にせめてものベストな足掻きをする時です。無意識にこれをやっていることに気がついたら,直ちに冷水を頭からかぶって目を覚ましましょう。
厳しいポケモンとそれらへの対策
繰り返しますが,初手で襷ウツロイドの有利対面を誘発させ,珠ギャラドスを通すことに死力を尽くすというのが本構築の根幹をなす方針です。そのため,苦手とするポケモンも主に,
の二つに大別されます。ここではその二つの視点から,代表的な厳しい相手をいくつかピックアップします。
1. ウツロイドが起点を作りづらいポケモン
1-1 初手の地面タイプ(,,,,etc...)
基本的に地面タイプはととの圧力によって,初手には出てこない前提で初手ウツロイドを出します。そんなわけで,ウツロが有効な打点を持たず且つ電磁波を入れられない地面タイプは何であれ厳しいです。
一歩間違えれば,欠伸ステロでガッツリ展開を取ってくるこの2匹は特にきついです。カバは幸い,初手vs対面で欠伸を押されたことはほぼなく,に即引きすると龍舞読みで吹き飛ばしを押してくれるので,ダイジェット→ダイストリームorダイジェットの流れで,苦し紛れですが何とかギャラを展開していました。(願望プレイですが,意外とうまくいきました。) 起点作成型のラグは一度も初手で対面していないのでわからないです。
1-1.2 剣舞ランド
初手で電磁波を入れられず,[A+2]エッジでこちらのを突破しうる,剣舞はそこそこキツいです。運よく選出画面でダイマランドを察知して,初手にやを合わせることさえできれば,わりと何とかなりますが。最悪,ミミッキュを駆使してダイマを枯らして無理矢理誤魔化します。
1-2 連撃の型ウーラオス/任意のラム持ち
連撃については,水流連打でウツロが襷を貫通されてワンパンされますし,ラム持ちについても行動が一度無駄になります。どちらも最悪の場合(≒より速い場合),ウツロが何もできずに倒れていきますが,どちらも環境に数が多くなかったために助かっていました。
2.ギャラドスを通すのが困難なポケモン
2-1 ミミッキュ
ダイマターンを確実に一ターン皮に消費させられ,また状況が万全でなければ死に出しからが突破されます。そのため基本選出では、ステロが入り皮の剥がれたミミを確実に倒せる,鉢巻ラオスかミミを置くようにしています。また,事前に皮を消費させておけば,も止まりません。
2-2 火力が高く、速い電気タイプ及び電気技持ち
特に苦戦したものには、レジエレキ,スカーフサンダーが挙げられます。電気タイプに対してのS操作手段に欠けるこの構築にとって,がS+1状態で抜けない電気タイプのポケモンは,もうどうしようもないくらい致命的に重いです。特にについてはと組まれている場合が多々あり,を選出しづらいのも苦しい点の一つでしょう。
2-3 ポリゴン2/HBサンダー
どちらも死に出しからダイマを切ることで,多少削れていたとしてもの攻撃を耐えダイサンダーで倒しにこれます。ステロとを駆使して,再生技を押させずに引かせられれば,珠ギャラを通すプランでも勝機はありますが,苦しげな立ち回りを強いられます。
3.ウツロが起点を作りづらく,ギャラを通しづらいポケモン
3-1 ジバコイル
頑丈イバン型にギャラが倒される(orダイマを枯らされる)・ダイマ同士の打ち合いで,が負ける・とから有効な打点がない,などなどキツい点を挙げ始めたらきりがないですね。の流行もあってか,終盤にはだいぶ数を減らしていたのは助かりました。
3-2 ナットレイ
からの打点に乏しく,ステロも半減,更には多少削れていても守るでダイマ枯らしまで行える,こちらにとってはもはや最恐のポケモンと言わざるをえません。ウーラオスで引かせながら,前述の対ポリ2/HBサンダーと同様に,ステロを踏ませていきたいところです。(でも残飯によって,繰り出すだけで回復されるので,結局きついです。)
全体の所感・総括
パーティ構築時点での目論見通り,多くの試合で初手にウツロイドの有利対面を作って展開をつかんでいけたのは,コンセプトの面から言って大成功でした。選出誘導に精を出した甲斐があったと言えましょう。また, のタイプ補完を活かしたサイクルやのみがまも・の襷・の化けの皮・ゴダイブなど,相手のダイマを強引にいなす手段を自然に構築に盛り込むことができたことも,8世代の構築として強化につながった要素だったと思います。
半面,を選出できなかった時や,ウツロで満足に後続の起点を作れなかった時のパワーの低さは大きな課題の一つです。「を選出できなかった時の対応力」を上げるよりも「如何にを選出するか」に重点をおいた構築作りだったため,ある程度仕方のない部分ではありますが…。
また,珠ギャラドスを通すうえで「ステロを撒く」という手段自体が,s12の環境においての最適解たるかどうかについても検討の余地があったでしょう。具体的な問題点としては例えば
- 積みエース一般が苦手とする,襷持ち(特にカウンター持ち)のポケモンが環境にほとんど見られなかったこと
- ステロを一回踏ませたところで[A+1]雨ダイストリーム(>[A+1]ダイロック)ではダイマックスしたHBを倒せないこと
- CSであればステロを踏ませずとも倒せること
などなど…。一般論としての抜きエースとステルスロックの親和性の高さについては,言及するまでもないですが,環境と噛み合うかどうかというのは,それはまた別の問題になってくるのかな,とs12を通じて考えさせられました。
実際,私以外にs12で珠ギャラを使っていたプレイヤーの中には,壁ドラパと合わせて使っていた人もいるようです。こちらは,壁によってHBの攻撃を耐えられるため,上記の課題を一部解消できています。→
【S12使用構築】強堅ジバコイル×暴虐ギャラドス【最終109位、レート2079】 - パピコおいしい
実績(s12結果)
・TN Inno-Cenpai
最高順位 531位
最終順位 922位
最終レート 1931
最終日最高レート(参考) 197x
・TN オ・ゾーニ
最終順位 1939位
リンク集
・構築作成時に参考にした構築記事→
【S12最高最終2109】明鏡止水カバゲンカグヤ【最終36位】 - まじゃいのアーティファクト
・s12で「壁ドラパ+珠ギャラ」で好成績を残している構築記事→
【S12使用構築】強堅ジバコイル×暴虐ギャラドス【最終109位、レート2079】 - パピコおいしい
・「個別解説」のPGL風個体紹介カード→
ぽけっとふぁんくしょん!|PGLカード風個体紹介ジェネレーター
・各ポケモンのドット絵→
Serebii.net Sword & Shield Pokédex
あとがき
ここまでお目通しいただき,ありがとうございました。このページでは「筆者⇄読者」の関係でしたが,いつかランクバトルの荒波の中で,再び巡り合えることを楽しみにしております。
ではでは。
以下は本構築とはほとんど関係のない,おおよそ筆者の雑談みたいな感じになっているので,ここらでブラウザバックしていただいて,大いに結構です。
<結果について>
そもそも構築の始まりは珠ギャラの破壊力に惹かれ,珠ギャラを全力で通そうとしたところからでした。にも拘わらず,シーズン最終盤,弱気になってギャラを選出せずに負ける試合(=ギャラを出してればほぼ通っていた試合)が幾つかあって,今となってはそれが一番悔しいです。構築を,ポケモンを,延いては過去の自分自身を最後まで信じる力が足りていなかったのだと思います。 (某国民的アイドルアニメ「アイ〇ツ!」でも「夢は運だけじゃなくて 心のチカラ だから逃げちゃダメだよ」と歌われていたと記憶していますが,今,身をもってそれを実感しています…。)
<初めての構築相談・共有について>
ところで,ポケモン対戦を始めて早3年(3年?!),今回初めて,友人と構築の軸の共有・相談をしながらシーズンの一か月を過ごしてみました。結論から言って,これは大成功でした。例えば,思いついたことを相手に伝えようとすることで思考の整理になったり,レスポンスのあるメモ帳としてチャットを使えたり,同じ構築を使うことで試合のサンプルが倍(以上)に増えて構築の穴を見つけやすくなったり,対戦数を稼ぐモチベーションになったり,同じポケモンを使っても人によって立ち回りに結構大きな差があることに気づかされたり,…などなどなどなど。そもそも彼と対話をしていなければ,この構築に辿り着くこともなかったと思いますし。
私は,SNS上で他人との距離を詰めるのが得意ではない(今期相談していたのもSNS上以外で親交のある友人) ので,構築相談みたいなことも殆どしたことがありませんでしたが,またポケモンを再開した暁には他の方ともやってみたいな,と少し思ったりしました。
<Special Thanks>(※敬称略)
・シーズンを通して一緒に戦い抜いてくれた,謎の人物X
・構築記事を書こうか否かと思案していた時背中を押してくれた,ぽむ
・学校の期末試験前にゲームにいそしむバカ息子を生暖かく見守ってくれた,両親
・4年前にA0テッカグヤを譲ってくれた,妹
・期末試験を延長してくれた,学校
加筆修正履歴
2020/12/6
「実績」の項を記事下部へ移動しました。
言葉の乱れを一部修正しました。
12/7
言葉の乱れをさらに修正しました。
12/8
レンタルパーティ内のギャラドスの配分を再調整し,それに関して補足しました。
12/26
面倒くさくなってしまったのでダメ計の追記を諦めました。
2021/1/2,5/19
言葉の乱れをさらに修正しました。
サムネ用画像